『夜桜四重奏~ヨザクラカルテット~』松尾監督公式ロングインタビュー後篇
![]() 松尾監督:先ほど、最初に原作を読んで「ライトな話でいいな」と思ったと話しましたが、語と絵の雰囲気がとても合っていると思ったので、なるべくならこの絵を再現したいというのがアニメ版での僕の希望です。ですからデザイナーの方には「申し訳ないけど模写するくらい似せて欲しい」とお願いしました。 ただ、やはりマンガなのでコミックスの各巻で絵柄が少しづつ違うんですね。コミックスの2巻まで揃った状態で作業に入ったこともあり、2巻をベースにしてアニメ版のキャラクターを作っていきました。 ――アニメの舞台になっている桜真町(原作では桜新町)についてですが、実際にロケハンに行かれたりしたのですか? 松尾監督:実際に桜新町は行きました。部分的に使わせていただきますが、基本的には二子玉川あたりをモデルに少しアレンジしました。原作の舞台も、川があって土手があって住宅街があって、そして高い建物が少ないので、僕の中では二子玉川のほうがイメージしやすかったですね。 ――続いて、監督は過去の作品でプレスコ収録を行ってきましたが、今回もプレスコ収録ですか?また、キャスティングについてもお聞きしたいのですが…… 松尾監督:まず今回もプレスコ収録です。ただ、今まではプレスコのメリットを見せるための作り方というのをしてきたのですが、今回はそれはやらないつもりでいます。キャスティングはもう決まっていて、現在3話まで収録が進んでいます。 過去のリップシンクロを目指してプレスコを行った作品などと違い、僕の場合は、声優たちが持ってる息使いを生かして自由に演技してもらおうと思いプレスコ収録を行ったんです。声優さんの中で舞台などもやっている人がいますよね?あれはアニメではできないことをやっているわけです。それを見て悔しくて、なんとかしてその演技をアニメでも使おうと思ったんです。 ――実際に収録してみて、今回のキャストについての印象はどうですか? 松尾監督:悪くないんじゃないかなと思います。今までだったら起用しなかったタイプのキャストも入っていて、上手く個性が出ていると思います。以前はキャストについては、最初から主張していたのですが、今回は周囲の意見を聞こうと思い最後まで口を出さなかったんですよ。周囲のスタッフの(キャスト候補)リストを見せてもらったときに、そんなに自分の考えとずれてなくてよかったと思いました(笑)。 ですから、オーディション中も全然しゃべりませんでした。「こういうしゃべり方できますか?」って聞くぐらいで、「もっとこういう感情で話してみて」ってお願いしたときに、どのぐらい演技を変えることができたか?というのを僕はチェックしました。声の印象と、僕らの要求に対してどれぐらいフィードバックできるか?それとオーディション中、どれぐらい僕らに質問ができる子かをみました。 声優と音響監督が話す機会は多いけど、声優と僕らが話す機会が少ない現場が多いのです。でもプレスコって絵コンテしかないから、意思の疎通ができないと仕事にならないんです。アフレコでは、演技の“間”も絵も決まっているからそこから外れようがないから傷口が広がらないんですが、プレスコだと僕らと話すことが出来る人じゃないとダメなんです。 ――プレスコ以外で今回、演出面で新しい挑戦などは行うんですか? 松尾監督:とても小さいことだけど、僕の作品の中ではカット数が多い方です(笑)。僕はこれまで200から250カットぐらいでした。でも今回は、330カットぐらいあるんですよ。だから過去の作品と比べると、絵コンテの書き方やカット割の仕方も変わっています。よりアニメのスタンダードに近いと思います。 ――スタッフ全体に対して監督からリクエストというか、何か伝えたことはありましたか? 松尾監督:どちらかというと『ローゼン』をやっていた頃の感覚に戻そうと思っているので、自然とその時のスタッフが多いですね。ある程度は要求するけれど、スタッフの個性を生かそうと思っています。それも原作があるからですね。この方が演出に専念できるんじゃないかと思いました。今回、一歩引いたことで「僕だったら出てこなかっただろうな」という部分が出ています。だからちょっとフレッシュな気持ちです(笑)。 ――音楽の部分で監督からリクエストしたことや、また具体的なイメージなどはありましたか? 松尾監督:今まではアコースティックなものやクラシカルなものを好んで使っていましたが、今回はそういうものは合わないだろうと思いました。僕はちょっと昔のロックをイメージしていたんです。グラムロックなどです。その頃のギターの持っているキャッチーさだったりはアニメに合うんじゃないかと思っていて、音楽プロデューサーの方に「やってみてもらえませんか」とリクエストしているところです。あと、今回ミュージカルはやりません。とっても大変なんで(笑)。 ――最後に放送を待っているファンの方、視聴者の方へのメッセージをお願いします 松尾監督:原作を読んでいる人は動くヒメたちを楽しみにしていてください。アニメから観る人はぜひ原作も読んでみてください。そして、この原作をどうやって1クールで消化するのか?という部分も楽しみにしていてくれればいいなと思います 関連記事 『夜桜四重奏~ヨザクラカルテット~』松尾監督公式ロングインタビュー前篇 ![]() 彩の町・桜真町を舞台に巻き起こる幻桜奇譚 ![]() 夜の桜真町の続発する奇怪な事件 それに立ち向かうは、『比泉(ひいずみ)生活相談事務所』の面々 新感覚ハートフル・アクション、いよいよ開幕!! ![]() 2007年より「月刊少年シリウス」(講談社刊)で好評連載中のNO.1ツンヘコ(?)コミック。コミックスとして4巻で50万部を突破した作品。アニメーション制作はあの「ローゼンメイデンシリーズ」を作り出した制作スタッフ陣。TBSアニメフェスタ2008メインビジュアルに抜擢された、人間と妖怪という個性豊かなキャラクターたちが織り成すアクションミステリー超大作。 ![]() 妖たちの跋扈する桜並木の町・桜真町は人間と人外の力を得た者が共存している。ただ人間は「自分たちと違う存在」として溶解を見ており、彼らを迫害することが多く、妖怪は人間の前ではその素性を明かにすることはなく、密かに暮らしてきた。そこで主人公秋名の祖父が仲間と共に作ったのが「七郷」と呼ばれる桜。七郷には強力な妖力があり、妖怪たちの「力」を安定させる力がある。この七郷に守られた町は桜真町と名付けられ、世界で唯一、妖怪によって町の運営が成される町として誕生。以降、妖怪と人間が共存出来る安住の町として秋名の祖父の世代から発展を続けてきた。 しかし、この物語が進み出す二年前、事態は一変する…。 ![]() この物語が始まる二年前の十月。街を守る七郷の一本が突然枯れ果ててしまう。 人に強力な憎しみを持つ「円神」が造反したのであった。円神は妖力を使って、七郷の桜を咲かし、「妖の世界」と「人の世界」に歪みをもたらそうとしていた。 これを防ぐべく、立ち上がったのが秋名、ヒメ、ギン、恭助の4人であった。 4人は円神を追い詰めながらも、円神にギンの体をのっとられてしまう。円神をギンごと「妖怪の世界」に送ろうとする秋名だが、最後の最後で力を緩めてしまう。これによって、円神はギンの体ごと逃亡し、向こうの世界へ封じ込めることに失敗してしまう。 それから二年。秋名によって力を奪われた円神だったが、力を蓄えて再び桜真町を襲おうとしている。 物語はこうして始まる。 ![]() ![]() 原作 ◆ヤスダスズヒト 【月刊シリウス(講談社刊)連載中】【神様家族:イラスト】 (C)ヤスダスズヒト/講談社 監督 ◆松尾 衡 【ローゼンメイデンシリーズ】【紅】【RED GARDEN】 シリーズ構成◆花田十輝 【ローゼンメイデンシリーズ】【sola】 キャラクターデザイン◆菊池聡延 【ローゼンメイデンシリーズ:作画監督】 音響監督 ◆鶴岡陽太 【CLANNAD】【涼宮ハルヒの憂鬱】【らき☆すた】 アニメーション制作 ◆ノーマッド 【ローゼンメイデンシリーズ】【狂乱家族日記】 音楽制作 ◆flying DOG/JVCエンタテインメント 音楽 ◆土橋安騎夫、IVAN KRAL オープニング・テーマ◆『JUST TUNE』/savage genius エンディング・テーマ◆『ナガレボシ』/ROUND TABLE featuring Nino ホームページ 放送局◆TBS/BS-i 放送時期◆2008年秋 (C)ヤスダスズヒト・講談社/桜真町生活相談所
by ex_anime
| 2008-08-01 02:11
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